空き家を解体する

相続した空き家が老朽化している場合、「このまま残すより解体した方がよいのでは」と考えることがあります。

ただし、空き家は一度解体すると元に戻せません。解体費だけでなく、売却価格、土地の利用方法、固定資産税、境界や接道、アスベストの有無なども確認してから判断することが重要です。

特に、「古いからすぐ解体する」のではなく、建物付きの状態と解体後の状態を比較してから決めることをおすすめします。

このページでは、空き家を解体する前に確認したいこと、解体の流れ、費用、業者選びのポイントまで順番に整理します。

解体する前に確認する4つのこと

1.本当に解体した方がよいか確認する

古い空き家でも、必ず解体した方が有利とは限りません。

建物付きで売却できる場合や、不動産会社による買取が可能な場合もあります。

そのため、解体を契約する前に、

建物付きで売る場合と、更地にして売る場合

の両方について、不動産会社などへ確認することをおすすめします。

2.相続人・所有者を確認する

相続した空き家の場合、現在の所有者や相続関係を確認します。

相続人が複数いる場合は、解体について相続人間で意見を整理しておく必要があります。

権利関係が複雑な場合は、工事を契約する前に司法書士や弁護士などへ相談してください。

3.土地の条件を確認する

建物を解体した後に、

  • 土地として売却する
  • 新しく建物を建てる
  • 駐車場などに利用する

といった予定がある場合は、接道、境界、再建築の可否、用途地域なども確認します。

解体した後で「希望していた使い方ができなかった」とならないよう、先に確認することが重要です。

4.自治体の補助制度を確認する

自治体によっては、老朽化した空き家などの除却について補助制度を設けている場合があります。

対象となる建物、申請時期、工事業者、補助額などの条件は自治体ごとに異なります。

工事契約や着工後では申請できない制度もあるため、必ず契約前に確認してください。


空き家を解体するまでの流れ

一般的には、

現状確認 → 売却・活用との比較 → 解体業者へ相談 → 現地調査・見積もり → アスベスト等の事前調査 → 契約 → 必要な届出 → 解体工事 → 廃棄物処理・整地 → 建物滅失登記

という流れです。

一定規模以上の解体工事では、建設リサイクル法に基づく届出が必要です。建築物の解体では床面積80㎡以上が対象となり、発注者等は原則として工事着手の7日前までに届出を行います。

届出や必要書類については、解体業者と契約時に「誰が、いつ、何を提出するのか」まで確認しておくと安心です。


解体費用を左右するポイント

解体費用は、建物の床面積だけで決まるわけではありません。

主に、

建物の構造、延床面積、立地、重機が入れるか、残置物、ブロック塀や樹木などの付帯物、アスベスト、地中埋設物

などによって変わります。

そのため、インターネット上の「坪単価」だけで予算を決めないことをおすすめします。

見積書では、

建物本体の解体費・廃棄物処分費・付帯工事・諸経費・追加費用が発生する条件

まで確認してください。


アスベストについて確認する

建築物を解体・改修する場合、工事の規模にかかわらず、原則として石綿(アスベスト)の使用有無について事前調査が必要です。建築物の事前調査は、一定の資格要件を満たす者が実施する必要があります。

さらに、建築物の解体部分の床面積が80㎡以上の場合は、石綿の有無にかかわらず、元請事業者等による事前調査結果の報告対象になります。

アスベストが確認された場合は、除去方法や飛散防止措置などによって費用や工期が変わる可能性があります。

見積もりを比較するときは、

「アスベスト事前調査が含まれているか」「分析が必要な場合の料金」「除去費用の扱い」

も確認してください。


解体後の税金・登記

固定資産税

住宅の敷地には一定の要件で住宅用地特例が適用され、小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が価格の6分の1になる仕組みがあります。

建物を解体すると、土地が住宅用地に該当しなくなり、翌年度以降の固定資産税等に影響する場合があります。

ただし、実際の税額は土地や自治体、解体時期などによって異なります。

「更地にすると固定資産税が必ず6倍になる」と単純に考えず、解体前に市区町村へ確認してください。

建物滅失登記

登記されている建物を取り壊した場合は、建物滅失登記が必要です。法務局は、建物などの物理的状況が変わった場合の表示登記について、原則としてその変化から1か月以内の申請義務があると案内しています。

自分で申請することもできますが、必要に応じて土地家屋調査士へ依頼できます。


解体業者を選ぶポイント

価格だけで業者を決めず、見積もりの内訳と対応範囲を比較します。

確認したい項目は、

  • 建物本体の解体費
  • 廃棄物処分費
  • アスベスト調査・対応
  • 残置物処分
  • 塀・樹木・物置などの付帯工事
  • 近隣への対応
  • 工事中の追加料金の条件
  • 必要な届出への対応
  • 工事後の整地
  • 滅失登記に必要な書類の発行

です。

特に、最初の見積額が安くても、工事開始後に追加費用が多く発生すると総額が高くなることがあります。

「何が見積もりに含まれていて、何が追加料金になるのか」まで書面で確認してください。


よくある質問

古い空き家はすぐに解体した方がよいですか?

必ずしもそうではありません。建物付きで売却できる場合もあるため、解体前に売却・買取・活用などの選択肢と比較してください。

家財が残ったままでも解体できますか?

対応できる業者もありますが、残置物処分費が別途必要になる場合があります。見積もり時に家財の量も確認してもらってください。

解体費用はいくらですか?

建物の構造、面積、立地、残置物、アスベスト、付帯工事などによって大きく異なります。現地調査を受け、複数の見積もりを比較することをおすすめします。

解体すると固定資産税が必ず上がりますか?

住宅用地特例が適用されなくなることで土地の税負担が変わる可能性がありますが、実際の税額は物件ごとに異なります。解体前に自治体へ確認してください。

解体前にアスベスト調査は必要ですか?

原則として建築物の解体・改修工事では、工事前にアスベストの事前調査が必要です。一定規模以上の場合は調査結果の報告も必要になります。

解体後に何か手続きがありますか?

登記されている建物を取り壊した場合は、建物滅失登記などの手続きが必要です。


空き家の解体について相談したい方へ

空き家を解体するかどうかは、建物の状態だけでなく、売却価格、土地の利用方法、解体費用、税金などを含めて判断する必要があります。

一度解体すると元には戻せないため、工事を契約する前に、建物を残した場合との違いも確認してください。

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